2021.08.23

【ヨリミチPOP】カセットテープ専門店「waltz」角田太郎/一生モノの“アナログ”世界との出会い ビックリするような音楽体験を求めて――

思わず行ってみたくなるような「いいね!」スポットをご紹介する“ヨリミチPOP”の記念すべき第一回目は、中目黒にある「waltz(ワルツ)」。国内外の音楽好きが訪れ、Gucci Placesにも選ばれた世界で唯一と言われるカセットテープ専門店だ。店内にはカセットテープはもちろん、レコード、ラジカセ、国内外の雑誌のバックナンバーなどを取り揃えている。そんな同店の店主・角田太郎氏にインタビューを敢行。“アナログ”の素晴らしさや、角田氏が感じる新たな音楽の“波”など、幅広く語ってもらった。

 

手に取る瞬間は感動もの!レコードが放つデジタルにはない魅力とは?

waltz店内

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――パッケージ・オーダー・プロジェクト(以下:POP)では、レコードを多く扱っているのですが、角田さんが感じるレコードの魅力を教えてください。

角田:モノとしての存在感は魅力のひとつ。実際にジャケットを手に取ったときに、“聴きたい”“聴いてみたい”と思う人はすごく多いと思います。うちの店にもレコードビギナーの方々がたくさん来店されますけど、みなさん手に取ると“この音楽を聴いてみたいな”と思っているようです。

waltz店内

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――インテリアのひとつとしてレコードを飾ることもありますが、どういった目的で買われる方が多いのでしょうか?

角田:ジャケ買いをできる方は、経済的に余裕がある方だと思っていて。なので特に若い方だと、自分のお気に入りのアルバムをレコードで聴きたいと思って購入される方が多い印象です。今までCDでしか触れ合ってこなかった作品のレコードを手にしたときの気持ちは、これまでとは全然違うものだと思います。

――CDとレコードの違いは何だと思われますか?

角田:カセットテープもそうなんですけど、冒頭でお話した“モノ”としての魅力と、“音”としての魅力のふたつに集約されるんです。モノとしての魅力は、レコードはすごく存在感があってアートとして鑑賞するに値するし、カセットテープは小さいサイズでかわいかったりしますよね。一方の音としての魅力は、プレーヤーにも左右されますが、ビックリするような音楽体験をすると思います。

waltz店内

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――音楽に詳しくない人でも、その“ビックリするような音楽体験”はできるものなのでしょうか。

角田:そこそこのプレーヤーでしか聴いたことがなければ気付きようがないかもしれませんが、良いプレーヤーなどと聴き比べると、音の違いは絶対にわかると思います。人の主観や感覚的な部分もあるので言葉にするとすごく難しいんですけど、音楽の温もりみたいな…少なくともデジタルとの違いははっきりと感じてもらえるんじゃないかな。音楽が本当に好きで、自分の生活や人生の中で音楽に対するプライオリティが人よりも高いなと思う方には、ぜひそういった体験をしてもらいたいです。

waltz店内

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――最近、国内外でレコードが再注目されているわけですが、角田さんから見た音楽に関する気になる現象や動向などはありますか?

角田:コロナ前は外国人のお客さんもすごく多くて、海外の取材もたくさん受けましたけど、そのときには日本の音楽を探しに来るお客さんがすごく多かったです。うちはカセットテープ専門店なので、レコードはトッププライオリティではなく定番のものを置くようにしているのですが、最近レコードに興味を持ち始めた方や、レコードから離れていたけど、もう一回レコードを聴きたくなったという年配の方などが買いに来られる印象もあります。

 

レコードビギナー必見!歴史的名盤は持っていて損はなし!!

waltz店内

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――POPでは、レコード世代ではない方々もサイトを覗きに来てくださっているのですが、レコードビギナーの入門編としてはどの辺りをオススメしたら良いのでしょうか。

角田:歴史が評価を定めている作品は聴いたほうが良いかな。例えば、マイルス・デイヴィスやマーヴィン・ゲイなど、誰が聴いても歴史的名盤として評価が決まっているものは買って持っていたほうが良いと思います。たとえその音楽が今、理解できなかったとしても、いつか理解できる日が必ず来る。僕もそうで、中学生のときに聴いたキング・クリムゾンは、その当時、すでに歴史的名盤として評価されていましたけど、全然理解できなかったですからね(笑)。歳を重ねて、その良さがすごくわかるようになりましたし、当時は自分の耳や感性が追いついていなかったんだなと気付かされました。

Gucci Placesに認定

Gucci Placesに認定

――人生のどこかで良さに気付くときが訪れると。

角田:そうです。レコードって価値が下がらないので、良さがわかるようになるまで寝かせておくのも全然ありですよ。

――第二の楽しみ方もあるってことですね!

角田:一生付き合ってきえるものだと思います。マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンなんかは、ちょっと聴いてわかる音楽ではないですからね。

――そういった意味で言うと、サントラなんかはレコードの入り口としては入りやすいのかなと思いました。

角田:若い方はハリウッド映画のサントラを探していたりもしますよね。音楽は知らないけど映画は好きっていう人もたくさんいますから。

――「waltz」ではどんなレコードが売れていますか?

角田:やっぱり名盤が多いですね。「チェット・ベイカー・シングス」なんかは何百枚売ったかわからないくらい。

――今後POPでは、カセットテープも扱っていく予定なのですが、カセットテープも需要が上がっていますよね。

角田:そうですね。元々、既存しているものがすごく少ない世界なので。

はっぴいえんど「風街ろまん」

はっぴいえんど「風街ろまん」

――はっぴいえんどの「はっぴいえんど」「風街ろまん」が売れているそうですね。

角田:もう一回カセットテープを聴き直したいって思った人が最初に手に取る1本なんですよ。QUEENの「GREATEST HITS」もそうですが、QUEENは今年の7月に再販されたものなので、それまでは「風街ろまん」一択でしたね。まずは自分が知っている作品を聴いてみようと思うんじゃないですかね。

【ヨリミチPOP】カセットテープ専門店「waltz」角田太郎/一生モノの“アナログ”世界との出会い ビックリするような音楽体験を求めて――――その気持ちはすごくわかります。角田さんはラジオ番組でいろいろなカセットテープを紹介されていますが、紹介後、反響の大きかった作品を教えてください。

角田:多分、日本ではほとんど知られていないと思うんですけど、XINXIN(シンシン)というアメリカのバンドのカセットテープ「XINXIN」です。ラジオで紹介したときは、お相手がハマ・オカモト(OKAMOTO’S)さんだったんですけど、彼もすごく気に入ってくださって、自身の違う番組でこれを紹介したそうで。これ以外にも、カセットテープの多くは誰も知らないようなものがたくさんあります。日本のアニメーションからインスピレーションを受けて作品を作っているビクター MKIIというフィリピンアーティストの「「Sunday」日曜日」は飛ぶように売れていますね。

――「waltz」にはそういった新しい出会いが待っているのですね。

角田:日本でこういうものを売っているお店はうちくらいしかないと思うので、ぜひ、新たな作品と出会ってもらいたいです。

 

角田太郎Profile

CDレコードショップ・WAVE渋谷店、六本木店でバイヤーを経験後、2001年にアマゾン・ジャパンに入社。音楽、映像事業の立ち上げに参画。その後、書籍事業本部商品購買部長、ヘルス&ビューティー事業部長、新規開発事業部長などを歴任し、2015年3月に退社。同年8月に東京・中目黒にカセットテープやレコードなどを販売するセレクトショップ・waltz(ワルツ)をオープン。2017年12月には、Gucciがブランドのインスピレーション源になった場所を紹介するプロジェクト「Gucci Places」にwaltzが日本で初めて選出された。

 

【店舗情報】

waltz外観
カセットテープ専門店「waltz」

住所:東京都目黒区中目黒4-15-5

営業時間:13:00〜19:00

定休日:月曜日

HP:https://waltz-store.co.jp/